みなさんは水道のない生活を想像できますか?
水道のない昔、人々は生活のための水を川から直接汲んだり、井戸を掘って汲み上げていました。また水場が遠いところでは、水を運ぶのも重労働でした。
水を遠くまで運ぶためには、桶などに汲んで人力で運ぶだけでなく、木などを削って樋(とい)を作り、水を引いたりしていましたが、ふたの隙間やつなぎ目から外部の汚れた水が入ったりして、完全に衛生的な水を確保するのは難しいことでした。
外部から汚染されない衛生的な近代水道(*)ができたのは1887年(明治20年)のことです。鎖国が終わり、外国との交易が盛んになるにつれ、コレラ、チフス等の水を介して拡がる感染症が流行しました。不衛生な飲料水に起因するこのような感染症を防ぐためには、清潔な飲料水を確保することが重要となります。
このため、外国から技術者を招いて衛生的な飲料水を送ることができる施設、現在の水道の原点といえる施設ができあがったのです。
*近代水道の定義:外部から汚染されないように鉄管などの閉じた導管を使い、ろ過・消毒などを行った人の飲用に適する水を、圧力をかけて広い範囲に常に供給する施設の総体のこと。
現在、日本の水道普及率は97%を超え、いつでもどこでも安全で衛生的な水を得ることができるようになりました。
「いつでもどこでも」ということは、全国の水道事業体が24時間休みなく水道水を造り、みなさんのところへ送り届けているということです。「安全で衛生的」ということは、水道事業体が厚生労働省令で定められた水道の水質基準項目(51項目)(*)を遵守し、さらに水質管理目標設定項目(26項目)を水質を管理する上で留意すべき項目とする等、厳しくチェックをしているということです。通常、日本ではいつどこへ行っても、蛇口から出た水がそのまま飲めないところはありません。
*水質基準に関する厚生労働省のHP
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/index.html
水質基準については、水道水は水道法で51項目、ミネラルウォーターは食品衛生法で原水には18項目の水質基準が定められています。
全国の水道事業体では、法律に定められた水質基準より、更に厳しい基準を課して、安全でおいしい水道水造りに努めるとともに、新たな浄水方法(高度浄水処理)を導入して、多様化するみなさまのニーズに応えています。
こうして送られる「安全でおいしい水道水」を、みなさんに安全でおいしいまま飲んでいただくために、水道事業体では貯水槽の管理の指導や、直結給水の推進などを行っています。
非常に身近で、あるのが当然と考えてしまう水道水ですが、みなさんの自宅や職場に届くまでの過程や取り組み、そしてその安全性とおいしさを知って、水道水をもっと好きになっていただきたいと思います。 |